2020年11月3日 (火祝) 10:00~12:00

サイエンスカフェかごしま特別編 「今年のノーベル賞受賞研究をひも解いてみよう!on Zoom」

話し手:物理学賞「ブラックホール」今井裕さん (鹿児島大学総合教育機構)

化学賞「ゲノム編集」白武勝裕さん (名古屋大学大学院生命農学研究科)

開催場所:Zoomを利用したオンライン実施

参加人数:小中学高校生8名、一般(大学生以上)・スタッフ25名

 11月3日、Zoomを利用したオンラインにてサイエンスカフェかごしま特別編 「今年のノーベル賞受賞研究をひも解いてみよう!on Zoom」を開催しました。今年度のノーベル物理学賞および化学賞受賞研究について、今井裕さん (鹿児島大学総合教育機構)と白武勝裕さん (名古屋大学大学院生命農学研究科)に話題提供いただき、小中学高校生8名、一般(大学生以上)・スタッフ25名が申込み、参加しました。鹿児島県外から参加の方々も多数いらっしゃいました!

 

 物理学賞では、そもそもブラックホールとは何かについて、今井さんに図や動画を利用して説明いただきました。ブラックホールは光さえもとらえて逃げ出すことができない強力な引力が働いていて、そのものを直接観察することはできないけれど、周りの天体や、周辺から放出されるガスや光の様子からその存在を観察することができるということが分かりました。また宇宙に存在する銀河の一つ一つの中心には必ずブラックホールがあり、実は身近な存在だということにみんな驚いていました。ブラックホールの近くでは時間がゆっくり進んでいる、ということは…、などSF小説かなと思うようなことが実際に起こる可能性があることも分かりました!

 

 化学賞では、Zoomを利用したオンラインの長所を生かし講師の白武さんは愛知県から参加していただきました。ゲノムを編集するとはそもそもどういうことなのか、どうやって編集するのか、について説明いただきました。またよく似ているけれど非なる技術、遺伝子組換えとの違いについても理解できました。ゲノム編集技術を利用するとできることも分かり、現在の開発状況について知ることもできました。驚いたのは、ゲノム編集で入れられた変異は、自然界で普通に起こっている突然変異と同じ位置づけであり遺伝子組換えに当たらないということです。現段階では法律での規制が追いついておらず、科学者の倫理観に頼って研究が進められている危うい状況だということでした。まだ日本ではゲノム編集技術でできた食品等は市場に出回っていないそうですが、近い将来流通が始まる可能性があることも教えてもらい、この技術の可能性を実感することもできました。

 

 Zoomというオンラインツールを利用したことで、子供たちにとってはTVやYouTubeを見るような感覚だったかもしれません。ノーベル賞は私たちにとって遠い存在ではなく実は身近な技術であり、それを上手に利用すれば無限の可能性をもった未来を創りだせるんだということが伝わったならよいなと思います。発言による質問だけでなく、チャット機能を利用出来たことも質問しやすい環境だったと感じました。各賞について解説と質問タイムを入れて1時間づつの持ち時間でしたが、非常にたくさんの質問が出てあっという間の2時間でした。スタッフを含め参加者それぞれがノーベル賞受賞研究の奥深さ・可能性を感じる機会となりました。

 

世話人:加藤太一郎 (鹿児島大学理学部)