2021年11月27日(土)15:00-16:30

サイエンスカフェかごしま特別編「今年のノーベル賞受賞研究をひも解いてみよう!」

話し手:医学生理学賞 「温度と触覚の受容体」栗原崇さん(鹿児島大学大学院医歯学総合研究科)

開催場所:鹿児島大学・地域・産学共創センター & オンライン

参加人数:15名

 11月27日にサイエンスカフェかごしま特別編「今年のノーベル賞研究をひも解いてみよう!」を開催しました。今年は、特に医学生理学賞にスポットを当てて、鹿児島大学で痛みの研究をされている栗原崇さんにお話して頂きました。痛みや温度、触覚などは、イオンチャネルという神経の受容体によって感知され、イオンが流入する事で、電気信号が伝達され、上記の感覚を感じるそうです。今回の受賞者の1人、Julius博士は1990年代後半にtrpv1が痛みと暑さの受容体として機能することを権威ある雑誌の1つNatureで報告しました。この報告は、衝撃だったようで、栗原さんも雑誌会(論文の勉強会)でこの論文を紹介したそうです。この研究は、Natureの表紙にも選ばれ、栗原さんは、その表紙の切り抜きと当時読まれた書き込みのいっぱいある論文を見せて下さいました。一方で、もう一人の受賞者、Patapoutian博士が触覚の受容体PIEZO2を発見したのは、2010年の事で、発見後わずか10年でのスピード受賞らしいです。触覚には、いくつか種類があって、優しく触れた時などに生じる触覚を感知するのがPIEZO2だということです。しかし、他の触覚を感知する受容体はまだ不明なようで、話を聞いていてわくわくしました。ノーベル医学生理学賞は、治療などで実際に使われ、多くの人に役立った後に、その元となった研究に送られることが多いのですが、今回受賞対象となった触覚受容体の発見はまだ具体的な治療法にはつながっていないようで、裏を返せば、それだけ重要な発見だったということなのでしょう。